02.03.2004
仄暗い記憶の底から 1
誰だって外国を一人旅するとなれば、一冊の本が書けるくらいの体験や思い出ができるものだ。今、僕は仕事が忙しくてホームページの更新もままならない。だから旅の思い出でも書いてみようかと思ったんだ。
いちばん印象深いのは、初めて見知らぬ国へ足を踏み入れるときだろう。過去の体験の蓄積をどう寄せ集めたところで、全く新しい経験を予測することは不可能だ。全く未知の印象の連続に、何をどう判断していいのかもわからないまま、不安と緊張、そしてひそかな高揚をを感じつつその国に身をゆだねていくのだ。
タイという国に関して僕は何も知らなかった。インドに行くための中継地点としてしか考えてなかったのだ。タイ人に興味もなかったし、何を食い、どんな言葉を話すのか......、まるでわからないままバンコクに降り立ったんだ。
ドンムアン空港についたのは真夜中だったので、朝を待って空港の近くにある鉄道の駅へと向かった。山田長政の日本人町で有名なアユタヤまで切符を買って列車を待った。午前4時頃だったのでまだ真っ暗だった。早朝なのに空気が生暖かくて塩気を含んだようなネットリ感があった。蚊が飛び回っている。赤ん坊が刺されないようにとおばさんがパタパタと蚊を追い払っていた。近くに金ピカの仏教寺院があって、門のところで子猫がニャーニャーないている。猫は外国人の僕を受け入れてくれたような気がした。駅の近くにある屋台でお粥を作っていて、香ばしい匂いがする。そこに轟音を響かせながらディーゼル車に牽引されたバンコク行きの列車が到着して、ポワンプワンポンペン......というわけのわからない駅の構内アナウンスが流れ人が乗り降りする。
アユタヤ方面に向かう下り列車は、まるで銀河鉄道999のような旧い列車だった。意外なほどスピードを出す列車の窓から気持ちのいい朝の風が吹き込んでくる。向かいに座っているタイ人のOLは靴を脱いで、木でできた座席に横座りして眠っていた。少し空が明るくなってくると、建物や森がシルエットで浮かび上がりはじめた。ヤシの木なんかも見える。僕は、ここは日本じゃない、全く別の風土へ、南国へやってきたのだ、とそのとき改めて感じたんだ。
いちばん印象深いのは、初めて見知らぬ国へ足を踏み入れるときだろう。過去の体験の蓄積をどう寄せ集めたところで、全く新しい経験を予測することは不可能だ。全く未知の印象の連続に、何をどう判断していいのかもわからないまま、不安と緊張、そしてひそかな高揚をを感じつつその国に身をゆだねていくのだ。
タイという国に関して僕は何も知らなかった。インドに行くための中継地点としてしか考えてなかったのだ。タイ人に興味もなかったし、何を食い、どんな言葉を話すのか......、まるでわからないままバンコクに降り立ったんだ。
ドンムアン空港についたのは真夜中だったので、朝を待って空港の近くにある鉄道の駅へと向かった。山田長政の日本人町で有名なアユタヤまで切符を買って列車を待った。午前4時頃だったのでまだ真っ暗だった。早朝なのに空気が生暖かくて塩気を含んだようなネットリ感があった。蚊が飛び回っている。赤ん坊が刺されないようにとおばさんがパタパタと蚊を追い払っていた。近くに金ピカの仏教寺院があって、門のところで子猫がニャーニャーないている。猫は外国人の僕を受け入れてくれたような気がした。駅の近くにある屋台でお粥を作っていて、香ばしい匂いがする。そこに轟音を響かせながらディーゼル車に牽引されたバンコク行きの列車が到着して、ポワンプワンポンペン......というわけのわからない駅の構内アナウンスが流れ人が乗り降りする。
アユタヤ方面に向かう下り列車は、まるで銀河鉄道999のような旧い列車だった。意外なほどスピードを出す列車の窓から気持ちのいい朝の風が吹き込んでくる。向かいに座っているタイ人のOLは靴を脱いで、木でできた座席に横座りして眠っていた。少し空が明るくなってくると、建物や森がシルエットで浮かび上がりはじめた。ヤシの木なんかも見える。僕は、ここは日本じゃない、全く別の風土へ、南国へやってきたのだ、とそのとき改めて感じたんだ。
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